【講演レポート】AIの未来とこれからの時代に必要な人材とは? – 浪速高等学校「OWN-Selection」にて登壇

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【講演レポート】AIの未来とこれからの時代に必要な人材とは? - 浪速高等学校「OWN-Selection」にて登壇

先日、学校法人浪速学院 浪速高等学校にて、弊社CTOの松山が講演をさせていただくという、大変光栄な機会をいただきました。

今回の講演は、同校が推進する「OWN-Selection(1S) 特別講座」の一環としてお招きいただいたものです。

この講座は、生徒一人ひとりの興味や関心、ニーズに合わせた多様な学びの場を提供し、主体的な学習意欲と能力の向上を目指すという、非常に先進的で素晴らしい取り組みです。

未来を担う生徒さんたちのために、このような価値あるプログラムの一翼を担わせていただけたことを、心より光栄に思います。

当日は、生徒の皆さんの真剣な眼差しと、新しい知識を吸収しようとする熱意に満ちた活気ある雰囲気の中、「AIの活用の未来 これからの時代に必要な人材」というテーマでお話しさせていただきました。

AIの「現在地」と、すぐそこに迫る「未来」

講演の冒頭では、まずAI技術の現在地を共有することから始めました。

Googleの「Gemini」を例に挙げ、現在のAIが単なる文章作成ツールにとどまらず、テキスト、画像、音声、さらには動画までを統合的に扱う「マルチモーダルAI」へと進化していることを解説しました。

これにより、複雑なレポートの要約やプログラミングコードの生成はもちろん、アイデアを伝えるためのイラスト作成や、動画コンテンツの企画立案まで、AIは私たちの知的生産活動のあらゆる場面で強力なパートナーとなりつつあります。

そして、その先に見える未来として、画像・動画生成技術の飛躍的な発展がもたらす変化についてお話ししました。

AIが違和感のないリアルな映像を作り出せるようになるということは、単に技術が向上しただけでなく、AIが「現実の世界の物理法則や文脈を理解し始めている」ことを意味します。

この「世界理解」能力の向上が、メタバース(仮想空間)を自動生成したり、現実空間で活動するロボットに的確な指示を与えたりする基盤となります。

そう遠くない未来に、AIが仮想空間と現実空間の両方で、私たちの仕事や生活を支える社会インフラとなる時代が訪れるでしょう。

AIを賢く使うための「4つの作法」

このようにパワフルなAIですが、その能力を最大限に引き出し、かつ安全に利用するためには、いくつかの重要な「作法」を知っておく必要があります。

講演では、特に重要となる以下の4つの注意点を強調しました。

  1. AIも間違える可能性がある(ハルシネーション)
    AIは時に、事実に基づかないもっともらしい嘘を生成することがあります。

    これを「ハルシネーション」と呼びます。

    AIからの回答はあくまで参考情報と捉え、鵜呑みにせず、必ず内容の正しさを自分で確認(ファクトチェック)する習慣が不可欠です。
  2. 指示・質問(プロンプト)は具体的に書く
    AIは「空気を読む」ことはできません。

    曖昧な指示では、期待する回答は得られません。

    自分が置かれている状況や背景、求めている回答の形式などを具体的に伝えることで、AIとの対話の質は劇的に向上します。
  3. 個人情報や機密情報を入力しない
    パブリックなAIサービスに入力した情報が、意図せず学習データとして利用されたり、漏洩したりするリスクはゼロではありません。

    プライバシーに関わる情報や、企業の機密情報を入力することは絶対に避けるべきです。
  4. 肖像権・著作権には注意
    AIで生成した画像や動画をSNSなどで公開する際には、特に注意が必要です。

    実在の人物に酷似した画像を生成したり、既存のキャラクターの著作権を侵害したりしないよう、法的な知識と倫理的な配慮が求められます。

これらの注意点は、AIを単なる「便利な道具」としてではなく、**「信頼できる知的パートナー」**として付き合っていくための、現代の必須教養と言えるでしょう。

AI時代に本当に価値を持つ能力:「国語力 × 思考力」

技術的な側面や注意点についてお話しした後、講演の核心である「これからの時代に本当に必要な人材とは何か」という問いに踏み込みました。

私たちの結論は、特定のプログラミングスキルやツールを使いこなす能力以上に、より普遍的で本質的な「国語力 × 思考力」が重要になる、というものです。

AIへの指示は、結局のところ「言葉」で行われます。

自分の考えを正確に言語化し、AIに的確な指示を出すための「言語化能力」。

そして、AIが生成した膨大な情報の中から本質を見抜き、その真意を深く理解するための「読解力」

この二つを合わせた「国語力」が、AIとのコミュニケーションの質を決定づけます。

さらに、その国語力を土台として、何を問い、何を解決するのかを考える「思考力」が不可欠です。

講演では、この思考力を鍛えるための2つのアプローチを紹介しました。

  • 目的思考
    「目的や目標から逆算して最適な手段を考える」思考法です。

    目の前の手段に固執するのではなく、「本当に達成したいことは何か?」を常に問い、利用可能なリソースを最大限に活用して最短でゴールを目指す力が、AIという強力なリソースを使いこなす上で極めて重要になります。
  • システム思考
    「様々な知識や経験を組み合わせ、新しい発想を生み出す」思考法です。

    ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが芸術から科学、医学まで多岐にわたる分野を探求したように、一見無関係に見える分野への好奇心が「考えの引き出し」を増やします。

    この多様な引き出しを組み合わせることで、誰も思いつかなかったユニークな問いをAIに投げかけ、革新的なアウトプットを引き出すことができるのです。

おわりに

AI技術は、私たちの社会を根底から変えるほどのインパクトを持っています。

しかし、それは決して恐れるべきものではありません。むしろ、正しく理解し、賢く使いこなすことで、私たち人間の創造性や可能性を飛躍的に高めてくれる強力なツールです。

今回の講演が、浪速高等学校の生徒の皆様にとって、AIとのより良い向き合い方を考え、ご自身の未来を切り拓いていく上での一助となれば、これに勝る喜びはありません。

最後になりますが、このような貴重な機会を設けてくださった学校法人浪速学院 浪速高等学校の教職員の皆様、そして熱心に耳を傾けてくださった生徒の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。

私たちLIKELIHOOD Co.は、これからもAI技術の発展に貢献するとともに、次世代を担う若者たちへの教育支援など、社会に向けた様々な企画や講演を積極的に行ってまいります。今後の活動にもぜひご注目ください。



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